4月9日「左官の日」について詳しく解説していきます。
4月9日「左官の日」の概要
4月9日「左官の日」とは、左官という職業の技術の素晴らしさや左官という職業をPRするために、日本左官業組合連合会によって制定されました。
4月9日が「しっくい」の語呂合わせで「漆喰」を表す事でこの日となりました。
「漆喰」とは、瓦などの接着剤として使われたり、目地の補充充填、壁の上塗りの際に使用される建材です。
「左官工」とは?
「左官工」とは、建物や壁などをこてを使って塗り上げる専門職を指し「しゃかん」とも呼ばれます。
「左官」という言葉は、律令制度の頃にあった官位のひとつが語源となっていて、四等官という4つの官位のうち、最下位が佐官と呼ばれていました。
宮中を出入りするには官位が必要で、宮中を修理するとの職人を役所の佐官に任命する事で、出入りを自由にしました。
その佐官が転じて「左官」となり、壁塗りの職業名となりました。
日本は雨の多い気候のため、日本建築において湿気の調節のために土壁と漆喰の組み合わせが重要な役割を果たしています。
日本家屋の壁は、竹を編んだ小舞下地と呼ばれるものの両面に、わらを混ぜた土を塗り重ねる土壁や、漆喰が使われますがその仕上げには「左官工」は欠かせない職業です。
昭和30年代になると洋風建築が登場しはじめ、コンクリートにモルタルを塗り仕上げをするようになったため、日本建築いがいの「左官工」の活躍の場は広がりました。
しかし、住宅の変化や建築の短縮化などの理由で、壁の仕上げは塗装やクロスが増え、石膏ボードなどの建材も増えました。
マンション工事なども、コンクリートにモルタルを厚く塗らなくなったことなどから、左官工事自体が減少し、職人数も減少しました。
しかし近年になると、漆喰などの天然材料を使用した壁が見直され、手作業による仕上げの味わいなどを持つ「左官工」の良さが再認識されてきています。
「土間屋」と「左官屋」の違い
「土間屋」と「左官屋」の違いは、その作業種類になります。
「土間屋」は、床仕上げ専門の左官業者となり、コンクリートの床をつくる職人の事を「土間屋」と呼びます。
「土間屋」は「左官屋」と比べ、あまり目立つ職業ではなく、地味な印象がですが、人々が日頃使用している公共施設や、高層ビル、商業施設などの床は全て「土間屋」によってつくられています。
大型施設や超高層ビルが増えてきた近年では、床面積がどんどん大きくなり、「土間屋」もそれに対応するために、トロウェルと呼ばれるプロペラのついた機械を使い一人100平米以上の床を仕上げます。
一方「左官屋」は主に漆喰などの建材を用いて、壁や床など非常に幅広いものを仕上げる職人です。
「土間屋」と「左官屋」はともに技術とセンスが非常に重要な職業で、手作業を主とする「左官屋」はその技術に個人差があります。
夏場などのコンクリートが固まってしまうのが早い時期においては「土間屋」は時間との勝負であり、逆にコンクリートの水分が引くのが遅くなる冬場においては徹夜作業になる事もしばしばあります。
「左官屋」の左官の給料や年収
左官の平均年収は、厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によれば、46. 5歳で387万円となっています。
月額給与は約30万円、年間のボーナスは約31万円となっています。
左官の初任給においては、見習い左官の日当は8000円前後で、およそ18~20万円くらいが相場とされていて、アルバイトなどで働く場合は日当で支給されます。
男女別の年収については2倍近くの差があり、女性左官職人が男性左官職人よりも圧倒的に少ないため、サンプル数が限られているためです。
左官業を営む企業の大半は中小、零細企業であるため、福利厚生が充実している会社は少なく、個人事業主の親方として個人で行っている人は、社会保険に未加入のケースもあります。
しかし「左官業協同組合」というものが存在しているため、左官職人は組合が運営する労働災害保険などを利用する事ができるようになっています。
「左官屋」は個人の技術やセンスが大きく問われる仕事ですので、若くしても親方となり、平均年収以上を稼ぎ出す人もいれば、歳をとっても技術が上達せず、給料が上がらない人もいます。
またボーナスについても少ない事が特徴で、まったく支給されないという企業も少なくありません。
まとめ
「左官屋」とは、私たちが普段生活している建物の「床」や「壁」を快適に過ごせるように仕上げてくれる、なくてはならない職人さんです。
現在はその過酷さや建物の変化などから「左官屋」のなり手が減少してきています。
日本建築という美しい建物を残していくためにも、「左官屋」さんの若い人の人材や労働力の確保が今後の課題となっています。